「いや〜全然やってないけど、なんとかなるっしょ」
そう言ってたあの男子、3月には「浪人って、悪くないよね」と言いながら予備校の説明会に申し込んでました。
受験って、“なんとかなる”と思ってる人ほど、なんとかならない。
逆に、“やばいかも…”って言ってる人ほど、なんとかなったりする。
この理不尽な現象に、私は名前をつけたい。
そう、名付けて――
「“不安バフ”理論」
これはこういう理論です。
✅ 常に「ヤバい…!」と言っている人 → 謎に準備をし始める → なんとかなる
✅ 常に「余裕っしょ!」と言っている人 → ノリと愛嬌で乗り切ろうとする → 玉砕
実際、私も高校時代は「火の鳥」を空に解き放ったことがあります。
二次試験の英語長文で、”firefly” を 「蛍」じゃなく「火の鳥」 と訳しました。
「夏の夜、草むらで火の鳥を見つけた少年は――」
いやお前それ、手塚治虫やないかい。京都大学に受かった学生とは到底思えません。
その瞬間、心の中で何かが爆発しました。
「あ、終わった」と。
でも、結果的には合格してました。しかも圧倒的な成績で…
なぜかって?
「不安だから準備してた」からです。
火の鳥を飛ばした一方で、
その他の問題は蛍のように一つひとつ、地味に拾い続けてたんです。
不安だったから。
「やばい」と思ってたから、数学解法集まとめをして問題集3周してた。
「落ちたらどうしよう」と思ってたから、英単語帳をボロボロになるまで持ち歩いてた。
「ダメかも」と思ってたから、毎日自習室で歯を食いしばってた。
一方、試験前日まで「俺、案外いける気がする」と言っていた男は、なぜかシャーペンを忘れて、隣の席の子に借りてました。
受験って、実力より先に「準備力」で決まるところがある。
そしてその準備力を支えているのは、不安力です。
だから私は、こう言いたい。
「不安なのは悪いことじゃない。むしろ、それが最強の武器になる。」
ちなみに私、あれ以来ずっとfireflyって単語だけは絶対に間違えません。
試験中に火の鳥を召喚した記憶が、脳に焼きついて離れないからです。
受験をこれから迎えるみなさんへ。
「不安」という炎は、あなたの中の火の鳥です。
でもそれは、あなたを焼き尽くすためじゃない。
あなたを飛ばすためにあるんです。
飛べ、蛍のように。あなたは火の鳥。
そして、燃えろ、心の中でだけは。