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2025年7月2日 New! | すぎやまブログ

クリヤマ問題

「ご予約のお名前、よろしいでしょうか?」

この質問が、俺を最も緊張させる瞬間である。

合コンでもない。
面接でもない。
プロポーズでもない。

予約の電話だ。

お店に電話をかけ、「あ、19時から3名でお願いしたいのですが……」と、
どこまでも普通の会話を交わしたのちに飛んでくる、
このシンプルかつ避けがたい問いかけ。

「お名前は?」

来た。
来やがった。
逃れられぬラストボス。

俺はこの瞬間、毎回、こうつぶやく。

「神よ、今日こそ伝わりますように……」

「スギヤマです」と告げる。

が――

8割の確率で、こう返ってくる。

「……クリヤマ様ですね!」

誰だよ。

俺は、クリヤマじゃねぇ!!!

いや、クリヤマさんをディスってるわけじゃない。
むしろクリヤマさんには罪はない。
あるのは俺の滑舌のほうだ。

でもな、あまりにも多いのだ。
「スギヤマです」が「クリヤマ様ですか?」に変換される現象。
これはもう、ただの聞き間違いではない。

これは、“現象”である。

科学でいうところの「摩擦」みたいなもので、
あるいは歴史でいう「フランス革命」みたいなもので
俺はこの現象に、正式な名前を与えることにした。

その名も――

クリヤマ問題。

もう何十回このやり取りをしたことか。

「スギヤマです」
「クリヤマ様ですね?」
「……いえ、スギヤマです」
「ス、スギヤマ様……申し訳ありません」

このやり取りがスムーズに進まないことによって、
予約の電話に平均+17秒が加算され、
俺の人生の総寿命はすでに3時間24分ほど削られている。

ちなみに、だ。

「スギヤマ」という名前、そんなにマイナーか?
と思って調べてみたら、福岡県内でのスギヤマ密度、かなり薄い。

もしかして俺、
「スギヤマ」という名前で生きていると思っていたけど、
福岡というエリアにおいては
“認知されていない仮名”みたいな扱いなのでは?

逆に「クリヤマ」は福岡限定で激強なのか?
もしや、俺が住んでいるのは、クリヤマ自治区・福岡なのか?

……そんな不安にすらなるのだ。

でもな。
ここで全てを「俺の滑舌が悪いから」と片付けるのは、ちょっと違う気がするんだ。

俺の「スギヤマ」は、「ス」がやや湿り、「ギ」が時折かすれ、「マ」が不安に震える。
……うん、やっぱり滑舌かもしれん。

だが!

それでも俺は、胸を張って言いたい。

「スギヤマです」って言ってんだろうがああああ!!!

俺は、クリヤマじゃない。
カリヤマでもない。
スガヤマでも、ウエヤマでも、オオヤマでもない。

俺は、ス・ギ・ヤ・マだ。

今日も、電話越しに戦う俺がいる。
電話の向こうの人が「クリヤマ様ですね?」と言った瞬間、
俺は、己のアイデンティティを、全力で叫ぶ。

「いえ、スギヤマです!!!!!」

――このブログを読んだすべての人にアンケートを取りたい。

もうアイデンティティ捨てて、名前をクリヤマに改名してもいいですか?