これは――
悩めるすべての親に向けた、俺からのアドバイスである。
俺は受験コーチとして日々、保護者とやり取りをしている。
そして、その中でひとつの法則に気づいた。
成績が伸びないやつは、自立していない。
「自立心がないから、親がどんどん干渉する。
親が干渉するから、さらに自立心がなくなる。
自分で何も考えない人間になる。」
……見事なまでの負のループである。
そういう家庭ほど、親がどんどん焦る。
「うちの子、今の時期になんでこんなこともできないんですか!」
と、塾に電話してくる。
気持ちは、わかる。
俺だって親なら焦るかもしれない。
でも、残念ながら――
そんなことを言ったって現状は変わらない。
逆に、成績が伸びるやつには共通点がある。
それは、自立心と責任感があることだ。
そういう子の親は、干渉しない。
遠くから見守っている。
頼られたときだけ、サッと力になる。
つまり――
「信じる」ことで子どもを育てている。
ということは、だ。
もしあなたが悪循環にハマっているなら、
出すべきアドバイスはたったひとつ。
「本人に考えさせろ。」
目標を、あなたが決めていないか?
「今日は何時間勉強しなさい」
「この時間から始めなさい」
「スマホは1日〇分まで」
……それ、ぜんぶ“親が”考えてないか?
違う。
考えるのは、あんたの子どもだ。
あなたがするべきことは、たった三つ。
① 子どもが自分で立てた目標を達成したら、全力で褒めろ。
ご褒美をあげてもいい。誇りを感じさせてやれ。
② 失敗しても、責めるな。
いいじゃないか。挑戦したってことだ。
③ もし助けを求めてきたら、一緒に考えろ。
「なんでできなかったの?」じゃなくて、
「どうしたらできると思う?」と聞いてやれ。
こどもに考えさせるってのは、放任じゃない。
「信じる勇気」と「待つ覚悟」だ。
もしここで、
「いや、うちの子は自分で考えられないんです」
と言いたくなったら、こう自分で自分にこう切り返してほしい。
「いや、私が考えさせてないだけだ。」
俺はこれまで、何百人もの生徒と親を見てきた。
本気で変わる子は、例外なく“自分で考える”ようになった瞬間から伸びた。
そのきっかけを与えたのは、
“親が一歩引いた瞬間”だった。
だから今日からでいい。
「どうしたらやる気になる?」って、
あんたが答えを出すんじゃない。
あんたの子どもに考えさせるんだ。
それが、
子どもを“やらされる勉強”から“自分の人生を生きる勉強”に変える第一歩だ。
俺たち先生という生き物は、
一生懸命に頑張るやつを全力で応援したい。
でも、その「一生懸命」は、
親が引いてあげた一歩の先にしか、咲かない。
だからどうか、信じてほしい。
目標は、
あなたが決めるものじゃない。
あなたの子どもが決めるものだ。
その瞬間、子どもは“他人の人生”から“自分の人生”に帰ってくる。
俺は、その瞬間を何度も見てきた。
さあ、手を離そう。
焦るな。
信じろ。
こどもに任せろ。
それが、
一番愛のある教育なんだ。




