ついにこの日が来た。
夏期特訓、本格始動である。
君たちにとっては、「この夏で爆伸びしてやるぜ!」という脳みその勝負かもしれないが、
我々おじさん講師陣にとっては完全なる体力勝負である。
朝、目覚ましで起き上がった瞬間に、
「足が……重い……!」
「腕が……震える……!」
「膝が……笑ってる……!」
と、まるで昨日、運動会の全種目に出場した体育教師のようなコンディションである。
しかし、それでも俺は教室に立つ。
なぜなら、知っているからだ。
夏は、生徒が最も飛躍する季節であるということを。
普段なら1週間かけて理解していた内容が、夏は1日で習得できる。
「勉強に慣れる」という言葉が、本当の意味を持ち始めるのが、夏。
「わからない」が「わかった!」に変わる瞬間が、連続してやってくるのが、夏。
でも。
でもな。
この“奇跡のような成長”は、覚悟を決めた者だけに訪れる。
やるか、やらないか。
その二択である。
「まあまあ頑張ります」なんてぬるま湯のセリフでは、この夏は突破できない。
覚悟を決めろ。
根性を見せろ。
君の人生において、今この夏がどれほどの意味を持つかを、ちゃんと理解しろ。
俺たちはその横で、汗をかき、足をつり、湿布を貼りながら支える。
だから、お前が本気なら、俺も本気だ。
準備はいいか?
さあ、一緒に翔ぼう。