「夢はでっかく持て!」
自己啓発書を開けば、だいたいこの言葉が最初の3ページ以内に書いてある。
——いや、ほっとけ。
夢のサイズ感について外野が口出ししてくるな、と俺は言いたい。
たとえば「日本一の寿司屋になりたい」って夢。
うん、素晴らしい。
“うまい寿司”で人々を幸せにしたいという熱意がバチバチに伝わってくる。
じゃあ、「近所の子どもたちに愛される駄菓子屋になりたい」って夢はどうだ?
これを“ちっぽけな夢”と笑う人がいたら、寿司ぶつけてやるから覚悟しろ。
夢っていうのは、
世間の役に立つ何かを成し遂げたいという、心の中の火だ。
その火が、東京ドーム規模で燃えてるのか、
コンロの上でじっくり煮込み料理をしてる火なのか。
それは……どっちでもいい。
むしろ、俺は見てきた。
「でっかい夢を持て」って言われて、
自分の器に合わない無理な夢を掲げて、
バンジージャンプみたいに飛び降りて、
空中で後悔しながら落下していった人間を。
夢に押し潰されて、
夢を呪って、
その後、“夢なんて持たない方がいい”って言い出したあの人を。
だから俺は言いたい。
夢に大小はない。
夢の価値は、他人に測られるものじゃない。
夢の正しさは、自分の中の「やってみたい」にしか宿らない。
「夢を持て」「それも大きく!」
たしかにそれは、勇気づけられる言葉だ。
でもそれが、
“自分の今を否定する言葉”になった瞬間、
その言葉は毒になる。
だから俺はこう言う。
夢は、自分の中にそっと咲いてるものでいい。
それが小さく見えても、
その花を咲かせるために、今日も生きているなら、
それは誰がなんと言おうと——
デッカい夢だ。
成功ってのは、でかさじゃない。
自分の中にある灯を、どれだけ絶やさずに育てていけるか。
そっちの方が、
よっぽど大事だと、俺は思う。