こどものころ、俺は思っていた。
大人って、なんて完璧な生き物なんだ。
なんでも知ってて、どんな問題も解決できて、
自分が知らないことは全部“大人が知ってる”と思っていた。
……が。
大人になって、そして人の親になって、完璧のはずの俺は悟った。
全然そんなことねぇ。
知らないことだらけだ。
むしろ、こどものころより知らないことが増えてる気さえする。
だって、毎年アップデートがすごい。
SNSのルールも、AIの使い方も、学校の仕組みも。
「去年の常識」が、今年は非常識。
大人って、常にリメイク版の自分を更新し続ける仕事なんだと思う。
そして、毎年のように新しい課題が降ってくる。
仕事、家庭、健康、教育――まるで“RPGの裏ボスラッシュ”だ。
ようやく「子どもを寝かしつけるバージョン2.0」を安定稼働させたと思ったら、
こっちは防具もそろってないのに、
次の日には「学校のLINEグループの使い方アップデート」が届く。
「次のミッションは生成AIの活用です」なんて言われても、
こっちはまだ“iPhoneの容量オーバー”に苦戦してるんだよ。
それでも俺たちは、毎年レベルアップしてる。
疲れながらも、悩みながらも、ちゃんと成長してる。
そして気づいた。
こどものころと違うのは――
年下から教えてもらうことが増えたってことだ。
スマホの設定も、SNSの使い方も、
下手したら「人との付き合い方」まで、
今のこどもたちは、俺たちよりずっと上手い。
それを認めるのは、ちょっと悔しい。
でも同時に、なんか嬉しい。
だって、それってつまり、
「バトンがちゃんと渡ってる」ってことだから。
大人もこどもも、結局みんな“発展途上”。
だから焦らなくていいし、
“できない”を恥じる必要もない。
大人は、完璧だから尊敬されるんじゃない。
挑戦してる姿が、尊敬されるんだ。
子どもが勉強を頑張るように、
親も日々をアップデートしている。
そうやってお互いが学び合いながら、
家族ってチームは強くなっていくんだと思う。
俺は、そんな“発展途上の大人”たちが大好きだ。



