定期テストの返却日。
プリントを手にした子どもが、ドアを開けて言います。
「あのさ……“数学”は事故ってことで、今後よろしく」
……君の“今後”とは一体いつから始まるのか。ついでにその“事故”は、任意保険でカバーされるのか。
さて、保護者のみなさま。
この時期、子どもにかけるべき言葉は何でしょう。
怒る?褒める?叱る?笑う?泣く?
そのすべての選択肢に迷ったあなたに、
今日は名作のタイトルを借りて、こう言わせてください。
「冷静と情熱のあいだ」――そこが、最強のポジションです。
点数じゃない。“プロセス”を見てください
テストで成績が上がったとき。
でも、それがあんだけ頑張ってた成果なら――
→全力で褒めてください!
「いや〜、夜中にガリガリやってたもんな」
「プリント、風呂にも持ってってたよね」
この“見てくれてた感”が、心のターボエンジンになります。
逆に、テキトーに流してたまたま点数が良かったとき。
→そこで褒めちゃうと“運ゲー人生”が始まります。
このとき、親がやりがちなのが「結果よかったからOK!」と褒めてしまうこと。
ダメ。それは“ラッキーパンチ”です。
今後も同じノリでやったら、たぶん次に待ってるのは――“いつもの自分の点数”。
運だけでうまくいったあとに褒めてしまうと、
「ちゃんとやらなくても、まぁなんとかなるっしょ」な思考がインストールされてしまう。
ここはあえて渋い顔で。
「今回はよかったけど、続けるなら努力なしじゃ難しいぞ」と伝えてください。
現時点では悪くない。でも進化するかどうかは、次回の“姿勢”次第です。
そして、頑張っていなくて、結果も出ないパターン。
これはもう――当然の結果です。
でもここで怒鳴ると、子どもは「叱られたこと」にしか意識がいきません。
大切なのは、
「本気出してなかったよな?このまま続けるとどうなると思う?」
と、本人に気づかせること。
何も努力せず、結果も出ない。
それは“たまたま”じゃない、“日常の成れの果て”です。
本人にその現実を直視させること。
ただし、詰めすぎるとドアがバタンされます。ご注意を。
そして一番難しいのがこれ。
「頑張ったのに結果が出なかった」とき。
ここで「なんで上がらないの!」と怒るのは、
熱々の味噌汁を全身にかけてくるタイプの情熱です。
このときは、
冷静と情熱の“ちょうどあいだ”で、こう言ってください。
「くやしいよね。でも、よくやった。ちゃんと見てたよ」
その一言が、“次また頑張ろう”って思える土壌になります。
努力に注目する親の子は、自分で動き出す
点数だけを見て一喜一憂する子は、
“見られること”に過剰反応するようになります。
でもプロセスを認めてもらった子は、
“見てくれてたこと”に安心して、次のチャレンジができる。
つまり、未来に向かう背中を押してあげられるのは、
点数ではなく、プロセスを見抜くまなざしなのです。
人生もまた、冷静と情熱のあいだにある
点数が悪くて落ち込んでいるときは、冷静に寄り添ってほしい。
点数が上がって天狗になってるときは、ちょっと冷やしてほしい。
頑張っても報われなかったときは、情熱的に抱きしめてほしい。
そのすべてを、“派手じゃない声”でやれる親が、
子どもにとっての“ホーム”になります。
最後に
子どもは、
点数という花を咲かせるまでに、
たくさんの“誰にも見えない季節”を越えています。
春だけ見て判断せず、
夏の汗、秋の葛藤、冬の孤独にも、
どうか目を向けてあげてください。
“プロセスを見守る”という名の、
冷静と情熱のあいだから――
世界一の親バカになってください。