夏期講習だけ受けたい?
その気持ち、わかります。
でも、うちは断ってます。生意気ですみません。
つい先日、ある保護者の方からお電話をいただきました。
「夏期講習だけお願いできますか?」
この一言に、私は思いました。
ああ、来たか――と。
実は毎年、夏前になるとこういった問い合わせが増えるんです。これ自体は本当にありがたいことなんですけど。
・「夏だけ集中的にお願いしたい」
・「今の塾ではちょっと不安なので…様子を見たい」
・「部活が終わったから今から頑張らせたいんです」
もちろん、その気持ち、痛いほどわかります。
でも、すごく言いにくいんですが――
NiCO塾、夏期講習だけの生徒、基本的にお断りしてます。
「え?なんで?」と思われたあなた。
その気持ちはとても正常ですし、むしろ、普通に考えたら「なんで受け入れないの?」って話だと思うんです。
で、それに対する私の答えを一言で表すとすれば――
「レトルトカレーを“カレーライス”と呼ぶな」
です。
説明しましょう。
私たちがやっている指導は「講習」じゃないんです。
生徒と一緒に「学びの習慣をつくること」。
その子の「頭の使い方を変えること」。
「できない」が「できる」に変わる瞬間を、一緒に何度も積み重ねること。
これは、100種類のスパイスから作る本気のカレーなんです。
ルウを使わず、玉ねぎを飴色になるまで炒めて、肉は一晩ヨーグルトに漬けて……ってやるやつ。
で、夏期講習だけ受けたいってのは、
「手間暇かけて作ってるカレーの鍋に、レトルト突っ込んでいいすか?」
って聞かれてるようなもんなんです。
しかも、レトルトをそのまま突っ込むだけじゃありません。
「1日でスパイスの効いた深みのある味にしてほしい」
「できれば辛さは控えめで、でも香りは強めで、しかも子どもが好きな味にしてください」
って言われるんです。
……無理や。
私たちは「長く関わって、じっくり育てる塾」です。
だから、「1か月だけ」「この夏だけ」って子は、その子自身にとっても中途半端になるし、塾としても無責任になっちゃう。
もちろん例外はあります。
過去に通ってくれてた子とか、事情がある子とか、例外的に「わかった、やろう」ってなることもあります。
でも基本方針は、
夏だけの奇跡は、起こさない。
そのかわり、通ってくれる子の“習慣”と“思考”は、確実に変える。
これが、NiCO塾のスタンスです。
だから、どうか誤解しないでください。
夏期講習だけの子を「やる気がない」とか「断るため」じゃなくて、
ちゃんと向き合いたいから、受け入れていない。
そんな塾も、この世界にはあるってことを、覚えておいてもらえたら嬉しいです。
……で、もし、ここまで読んで、
「なんか面倒くさそうな塾だな」と思った方。
その直感、たぶん正しいです。
でも、面倒くさいって、ちゃんとやってる証拠だとも、思うんです。
ナンだけ食べて「インドカレーうまっ!」とか言ってる人には、わからない味があるんです。カレーには。
そして、学びにも。
そんなことを思いながら、
今日も飴色玉ねぎを炒めるように、子どもたちの思考をゆっくりゆっくり火にかけているのが、NiCO塾という場所なのです。